河嶋淳司[家族ゾウ]を分解する!

2005/2/23
河嶋淳司さんのアトリエに行って来ました。
今回はリトグラフで「家族象」を作ることに決まっています。これまでに何回か版や画材を持って河嶋さんのアトリエに足を運び、河嶋さんが「家族ゾウ」の版を描画するサポートをしています。
描画した版は工房に持ち帰って製版、試し刷りをします。
今日は第一回目の校正刷りを持って細かい色の変更の打ち合わせをする為にやって来ました。
河嶋さんが工房で作った版画はすべてオリジナルで、一つ一つ彼が版を描き、色をチェックして出来上がったものです。
リトグラフの解墨の表現と河嶋さんの日本画の作品での「たらし込み」の技法はどこか通じるところがあるように思いますが、版画では日本画とはすこし違った河嶋淳司を引き出せたらと考えていろいろチャレンジしています 。
ここではほんの一部ですが河嶋さんが描いた版がどのように組み合わされて作品に仕上がっていくのかを紹介します。

親象の版を描いている河嶋さんです。
リトグラフ用の画材や小物は工房から持っていきます。
筆は河嶋さんが使い慣れた日本画の筆を使っていますが、ニカワが版に影響しないように使う前によく洗っています。

版画工房はインクや溶剤のにおいが染み付いていますが、日本画家のアトリエはニカワの匂い!でしょうか?

河嶋さんが描いた版を刷っているところです。

 

親象のからだの下地の色は微妙に違う色を使ってあり、その上にマチエールの版を重ねています。

ほんの少しの違いですが、色の複雑さと軽快なリズムが生まれて来ます。

 

親象の下地の色の版
 
親象の模様の版
 
左の2版を刷り重ねたところ

 

子象のからだの下地の版
 
子象の体のマチエールの版
 
刷り重ねたところ

 

「家族象」の完成図です。

 

家族の慈愛をテーマにした
優しい作品になりました。

c HSG KAWASHIMA 2006

ひとつひとつの版を描いていく作業は版の重なった時の印象を想像しながら描きすすめる必要もあり神経を使いますが全部の版が刷り重なってひとつの作品が完成すると、それぞれの版の美しい効果が出てきます。
リトグラフは他の版画にくらべ 色に透明感があり色の重なりが美しいのが特徴です。
河嶋さんの版画にもリトグラフの良さが随所に現れていると思います。

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