最近、版画のいろいろな材料がなくなり版画を作る我々にとって不自由な状況になってきました。
リトグラフでは刷りに印刷用のインクを使って来たので、印刷業界の進化とともに古いタイプのインクがなくなりつつあります。
インクは絵具の粉(ピグメント)と乾性油、体質、
顔料、助材、樹脂、溶剤などを必要に応じて練り合わせて作ります 。 赤い粉が「ターキーレッド」という顔料、混ぜ合わせる油は今回00ワニスを使っています。 奥の丸いガラスに柄のついたものがインク練り合わせ用の道具、マーラーです。 |
まずピグメントの中に少しづつ油をたらし、へらなどで馴染ませていきます。この時へらはステンレスや木などの絵具の粉との金属反応をおこさせない素材のものを使います。 油は一度に沢山まぜ過ぎないように気をつけて少しづつ混ぜていきます。 |
油とピグメントがある程度馴染んだら今度はマーラーで練り合わせていきます。 少しバサバサしているピグメントをまずまとめていきます。 |
前後にのばして広げていく感じで、インクをよく練り合わせます。 空気を入れないように滑らかに動かします。 この状態で良く練り合わせることが大切です。見た目がインクらしく馴染んでいても、なかなかオイルとピグメントが 一体化しないので、時間をかけて良く練っていきます。 |
通常練ったあとしばらくねかせて絵具の粉と油などが良く馴染むように塾生期間をつくります。
それでは手練りのインクを使って刷ってみましょう。
版にインクを詰めます。 コラグラフでも紹介した岡本さんの版です。 インク詰めにはゴムべらを使っています。 この時にインクの延び具合やキレ具合を確かめ、作品と版の刷り方を考え、インクの状態で足りないものを再度混ぜていっても良いでしょう。 |
寒冷紗でインクをきれいに拭き取っています。 今回使ったピグメントはターキーレッドという色で染料系の為か、版がかなり赤く染まります。 |
寒冷紗でインクをきれいに拭き取っています。 今回使ったピグメントはターキーレッドという色で染料系の為か、版がかなり赤く染まります。 |
刷り上がりです。 インクを詰めた版の上に紙をのせ、さらにラシャをかぶせてプレス機で圧をかけ刷ります。 紙に刷りとられたインクの量も丁度よいようです。 |