松谷武判 版画制作記 (その1)
CERCLE '05-06 [ 円 ]

2005/6/28~29
「具体」の作家、松谷武判さんが二日間工房にやって来ました。
今回は一週間後にパリに帰国の予定で時間があまり無く、リトグラフ一点を制作することになりました。
現在試し刷りの最中ですが、初回の試し刷りが完成したらパリに送り色校正や版の修正の為の打ち合わせをして作品を完成させて行きます。
新作がどんな作品に仕上がるのか楽しみな所です。

今回は二日間の日程しか無かったのでドローイングの作品をベースにして制作を進めて行くことになりました。
ベースになる作品を前に、工房の篠崎と版の校正や進め方の打ち合わせをしています。

 

リトクレヨンを使って版に直接描いている所です。
一本一本の線を力強く描いていきます。
「僕は自分のアトリエでも、いつもこんなふうに鉛筆で描いてるんですよ。」と松谷氏。 とにかく画面に向かうと仕事が早いのにびっくりします。大きな画面がすぐに塗りつぶされて真っ黒になって行く様子は圧巻です。

 

解墨(トキズミ)を使ってクレヨンで塗りつぶした半円から流れ出るイメージを作っています。   
偶然性を生かす部分もありますが、作品全体の中でのイメージの必然性も重要なのでかなり慎重に流れの方向を誘導しています。

 

エスキースではボンドで盛り上げるように描いた線が円の中心に入っています。
その部分をシルクスクリーンで盛り上げて刷ろうということになりました。
フィルムにオペークインクで描画し、これを感光します。
刷りに使うインクはビニール系の艶のあるものを使う予定です。

これで 最初の打ち合わせで予定した版を全部つくり終えました。
二日間というかなりハードな日程でしたが、これから描きあがった版の製版と試し刷りに進んで行きます。その後のようすはまた後日改めてお知らせします!

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